時間をかけてがんばっているのに利益率が低い、毎日の作業に追われてリソースがパンクしてしまう……など、デザイン・クリエイティブの現場はそういった環境に追い込まれてしまうことが多いのではないでしょうか?
他の業種だと工夫してコストカットできるだろうけど、クリエイティブ業務は型にはめることができないからマンパワーでなんとか……と疲弊していませんか?そんな業界の現場を少しでも改善できるようにまとめてみました!
広告・販促デザインという仕事をすることの大前提
広告や販促をすることの目標として「製品をたくさん売れるような施作にする・効果的なタイミングで告知をする」、これらを達成するためにクライアントも代理店もプロダクションも動いています。担当はさまざまですが企画〜納品までの一部にデザイナーのフェーズがあります。
業界あるあるだと思いますが、最初に引いたスケジュールから少しずつ後ろにずれていってしまうものの締め切りはズラせず……ということも少なくありません。理由や都合もさまざまでなんとも言えませんが、この業界の性というものです。
そんな中、どうにか良いものを作りつつ工数を減らすコストカットの方法があるのか日々の業務の中で考えてみました。
時間短縮=利益(お金)になるのか?という声も聞こえる気がするのですが、与えられた予算を増やすことはなかなか難しいため、だとすれば時間的コストを削減し利益(時間)をより多く残すことで稼いでいこう!という算段です。次項から解説していきます。
明確なフェーズ分けが必要
余談ですが大切な認識です。
世の中には数え切れないくらいのデザインが場所を問わず溢れており、ファッション・プロダクト・インテリア・ゲームなどジャンルはさまざまです。そんな中で私たちは広告や販促業界のデザイン/クリエイティブ業務を行なっています。
普段あまり基本に立ち返って考える機会もあまりないため、自分への戒めも込めて、広告や販促業界におけるデザインとは何なのかを改めて考えてみます。
デザインとは「クライアントが売り出したい商品・製品・サービスをターゲットにお知らせする」こと。つまり、想定したターゲットに的確かつ魅力的に情報を届ける計画・設計・形にすることをいいます。
上記を踏まえてデザインを制作するというワードを分解してみると大きく2つのフェーズに分かれます。
- 考えること(計画する:アートディレクション)
- 形にすること(設計・形にする:デザイン・オペレーション)
※デザイン制作部分のお話なのでプロジェクトマネージャー的なところは含んでいません。
時間をかけるべきは間違いなく「考えること」です。
私自身忙しくなってしまうと両方をマルチタスクで行ってしまうこともありますが基本的には「考えること」>「形にすること」の順に落とし込まなければ、良いもの(ターゲットにとって魅力的で商品が売れてクライアントが喜ぶ広告・販促デザイン)は生まれません。「この見せ方だから、こんな効果がある!」と胸を張って説明できるくらいに考えぬきましょう!
そのため、どこで時短するのかというと必然的に「形にすること」のフェーズになります。とことん考えたものを迷いなく形にしましょう。
各フェーズの効率的な進め方
それぞれのフェーズでやることが明確になりました。では具体的にどのように進めていくかを掘り下げてみます。
第一フェーズ:いきなり作業に着手せず、まずは最初に考える
商品の特徴の把握、ターゲットの趣向・傾向、世の中の風潮などの分析や深く「考えること」フェーズについてお話しするのは書くと長くなってしまうので機会があれば別の記事として投稿します。
では形にすることにおいて考えなければならないことはなんでしょうか?
私もよく忘れがちになってしまうのでちょっと整理して見ました。
- この広告/販促で達成したいことは何なのかの整理
- コンセプトの設定
- コンセプトを表すキャッチコピーとリードコピーのライティング
- デザイントーンの設計
- 情報分解/優先順位づけ
上記の順番で考える段階を踏んだ上でやっとai・ps・XD等のアプリケーションを使った作業に移行できます。
考える方に時間をかけるとはいえ、あまり悩み過ぎても後工程の作業工程が押してしまうので、考えることを事前に決めてシートにしておきます。
上記で整理した内容をエクセルやナンバーズでフォーマット化し1個ずつ潰していきましょう。ルーティーン化することで余計なことを考えてしまう時間を削減できます!
コストカット!コストカット!
第二フェーズ:考えを設計に落とし込む
さて、ここまでがアートディレクターとややデザイナーに足を踏み入れたくらいのフェーズになります。ここからが時間短縮できる余白がたくさんあるフェーズです。
悩まないために
まず時間短縮において徹底的に無駄を省きたいところです。何が一番時間の無駄かというと「悩む」時間です。悩むことは良いことではあります。良いことです。真剣に考えている証拠です。
しかし、良い悩み方と悪い悩み方があると思います。良い悩み方は考えるフェーズで散々やっているはずです。悪い悩み方は考えるフェーズで決めたことをさらに考え過ぎて捻じ曲げてしまうことです。方向性は既に決まっているのに、再度方向性を考える=無駄ですね。
なので、考えるフェーズで導き出したことを、どうしたら達成できるのかに焦点を当てて作ることに集中しましょう。作る前に次の二つをすることをオススメします。
Pinterestなどでイメージに近しいデザインを3〜5個集める
最初にベンチマークを決めてしまいましょう。集めたものをディレクターに見せて確認が取れると話が早くなります。意思の疎通が確実なものになり、「認識のズレ=全体修正」の確率がグッと下がるからです。
トンマナを決めてサムネイルを切る
最初に設計図を作っといたほうが圧倒的に迷いがなくなるので絶対にやるべきです。いきなりアプリを立ち上げて作業を開始すると、気づかないうちにマルチタスクになり時間がかかってしまいます。
この辺りも話せば長くなってしまうので次の機会に詳細は投稿できればと思っています。
webデザインの場合は、サムネイルを切った後さらに詳細な数値の設計と動きやギミックの設計をしなければなりません。
- 画面サイズの数値
- フォントサイズの数値
- マージンの数値
- アニメーションの設計
などなどコーダーに対して指示ができるくらい考えておくと後工程がスムーズです。
ここまでできれば残りはオペレーション作業なので変な話誰にでもできるフェーズになります。ぶっちゃけた話、もはやあなたがやる必要すらありません。あなたよりコストがかからない人がいれば、その人にお願いする方が利益率が高いです。
少し長くなってしまいましたのでここまでを前編として、後編は具体的な手法についてお送りしたいと思います。
To be continued…